生徒だけど寮母やります!2
夏休みが終わります!
* * *
市河家から帰って1時間30分後
とりあえず
この一連の件に関する話を学校に通しておくべきだ、ということで
景は爽馬と結斗、市河、月沼、ルーク
爽馬を連れての帰還を報告し予想通り大いに驚愕した斎藤マナ、保健室の先生、そして事情を説明した男子寮A寮母長である父親、女子寮寮母長である母親と共に、総勢10名で理事長室を訪問した
特に美音の安否を気にしていた景の両親や、危険を冒すのを躊躇わない男子寮Bの生徒たちを見守ってきたマナはもちろんのこと
大人たちは時に質問を挟みながら、自分たちの話を真剣に聞きいてくれた
そこに、いるはずのない元生徒である爽馬がいること
訪問メンバーの中に月沼がいること
MA本部から、ルークが日本に留学してきた理由自体が今回の件であること
保健室の先生、市河の親までもが今回の件をすでに把握しており尽力するつもりでいること
これらのことから、理事長ら大人は自分たちの知らないところで子供達がここまで独自に動き組織を築き上げ仲間を助けようとしていたことを知って、心底驚いたようだった
約2時間に及ぶ長い長い話し合いの末、協力は得られるとのことだったが、子どもだけでここまで勝手に動きすぎたことも事実
景は理事長と両親から寮母職における謹慎処分を受けた
期間は二週間
お咎め無しでやり過ごせる可能性を抱いていただけにショックを受けたが、自分の立場と責任の重さは寮母の証としての実感をもたらした
だから言い訳1つせずに甘んじて受け入れることができたけれど、幸い理事長も両親も景をはじめ生徒ばかりを責める気はないらしい
景の謹慎処分を発表した理事長は沈黙の末、一連の騒動は小高家だけではなく、妖術結社、学校、今回の件に関わった又は見過ごしてきた全ての大人たちの緩慢さ、認識の甘さが招いたことだと言った
誰が、何が、今回の数え切れない不幸の発端かなんて今更考えたくはないけれど
きっと“誰が”なんて特定できる話ではないのだろうと思う