生徒だけど寮母やります!2



「斎藤ちゃんだ。そういえば一年生は斎藤ちゃんのこと、まだ知らないんだよね?」


結斗の言葉に、景はそういえばと思う


確かに斎藤先生は新学期が始まり忙しいのか、昨日から一度も男子寮Bに顔を出してはいなかった


「そっか、そういえば斎藤先生は、景ちゃんち寮の寮母さんだったね」

と、柊


「そうそう」


「そういえばそうやったな。アイツ寮母やってんの?全然寮に顔出してるイメージないんやけど」

鈴菜の鋭い指摘に景は

「うーん、やっぱ二足のワラジっていうのは大変なんだよ。先生もオリンピック選手も、生徒も?」

と自身を指さして答える


「.....はいはい、しゅごいねー。景ちゃん二足のワラジであんよ出来てしゅごいねぇ」

「やめろし」


ワザとらしく鈴菜に撫でまわされ、そんな彼女の手を景は顔をしかめて払った


「あはは、景ちゃん髪が」

鈴菜のせいでくしゃくしゃになった髪を整えてくれる結斗に、景はすべて任せながらくすぐったそうに笑う


「ありがとうー。でもなんだかんだで斎藤先生も週に1、2回くらいは顔出してくれるもんね。休日とかさ」

「いや思いのほか少ないな」

鈴菜がツッこむとライが

「あいつの周りだけ毎日台風なんだろーな」

と毒づく


たびたびマナへの不満に台風のエピソードを付けてくる彼は、未だにあの日の事を根に持っているらしい

結斗が肩をすくめる


「まぁあんなことがあっても寮母を続けてくれてた先生のこと、凄いなとは思うよ」

「凄い男好きだな、の間違いだろ。でもそれはお前が言うな」

「何それ理不尽。でも、今年も寮母やるのかな?」


結斗の言葉に、景が「やると思うけどなぁ.....」と首をかしげた時、チャイムが鳴り各々は席に着いた


事が起きたのは、その後のことだった





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