気ままな恋愛事情
もやもやした気持ちになったが、 ルミが怪訝に見ているのに気づきすぐに思考を停止させた


「ええとね、ルミ。次その人に会ったらお礼は言うんだよ?ただ悪いからお菓子は貰わないように。わかった?」


「…ん、わかった」



「ん、えらい子。だけどもう少しその男の特徴を知りたいな。髪の毛が赤色だったのかい?」



和やかな表情とは一変、ルーベルトの顔は恐ろしい笑みを浮かべていた



もちろん、背を預けて足の間に座っているルミに、それを見ることはない



満腹になって、ルーベルトの体温で暖かくなったルミはウトウトとしながら頷く


「…うん……目も」



「……ほう?それはそれは。きっと派手なんだろうね」



「ん、ゾロゾロしてた」



ルーベルトのような、王族を表すきらびやかな金の髪やアクアマリンを想像させる、透明度の高い碧眼程ではもちろんないが、赤色の髪や瞳も充分珍しい



髪は染めている可能性もあるが、目まで赤ならば純粋なものなのだろう



そうか、と頷いたルーベルトはもう和やかな表情に戻っている



しかしこの時心中では、見つけやすそうでよかったと、ほくそ笑んでいることを、……気づく者は居なかった


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