気ままな恋愛事情
「ルミー!」




さっきの事が気になり、
いつもよりぼんやりとしながら教室へ向かうと
大きな声でルミの名前を呼びながら抱きついてきた人物がいた





この学園で声をあげるだなんて非常識なことをするのは、庶民だけだ




いや、庶民の子達も周りを見習っておしとやかに過ごす子が殆どなのだが・・・




彼女は、セナ・スミス





庶民という事で礼儀作法を習っていないセナは、ときに貴族では考えられない言動をする





さすがに、この貴族社会で貴族相手に無礼をはたらくことはしないが・・・





しかし普通は話す時だけでなく、普段から礼儀正しく過ごすものだ





礼儀ってなにおいしいの?
というように自由に過ごしている彼女は
我が道を行くという点に対しては、関心に値するだろう



そしてそれはルミにも言えることであるのだが・・・





そんなセナはルミの数少ない気の許せる友人であった





勿論ルミが宰相の娘であることは知っている





サバサバ系の男勝りな性格で、
色の濃い紺色ショートボブの髪をもつ彼女は今日も美人だ



しかしこの学園では美男美女が多いため、彼女の存在は霞んでしまい、むしろ「庶民」というだけで馬鹿にされるのだ




ルミは周りを見ながら、なんで金持ちで頭がいい上に美形ばかりなのか。天は二物を与えないんじゃないか、と恨めしそうにした




二物どころじゃなく恵まれている自分は完全に棚に上げている・・・



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