真夜中の恋人
「そうと決まったら、美奈ちゃんの歓迎会をしなくちゃね」

「歓迎会?」

「うん。ちょうど飲みたい気分なの。どこか飲みに行かない?」

「……う、うん」

どうしよう。
本当は節約したいけど、今日から寝る所の心配をしなくてもよくなったし。

一日ぐらい贅沢してもギリギリなんとかなるかな?
頭の中でざっと計算して、ミカコちゃんの言葉に「じゃあ、少しだけ」と頷いた。


「そうなんだ。美奈ちゃんも大変だったんだね」

白ワインを飲みながら、わたしの話に相槌を打つミカコちゃん。アルコールの所為か、その頬はほんのりと色づいている。

「わたしもね、色々あったんだ」

ちょっと寂しそうに目を伏せたミカコちゃんの話は、わたしと似たようなものだった。。

三ヶ月前に、同棲していた彼氏と喧嘩別れをして、それきり連絡が取れなくなったらしい。
2DKの家賃は、一人で払い続けるのには無理があり、丁度引越しを考えていたとかで。

同居は、ミカコちゃんにとっても、願ってもない申し出だったのだ。

「美奈ちゃんも、遠慮せずに飲んでね?」

「う、うん。ありがとう」

そう言えば、ミカコちゃんと仲が良かったのは中学生の頃までで。こうして、お酒を飲むことなんてなかったから、ちょっと戸惑ってしまう。




< 25 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop