真夜中の恋人
「ナツもシャワー浴びておいで」
「……うん」
そう答えながら、わたしはタカヤにしがみ付いている腕を解けない。
「やけに甘えるね」
「ごめんなさい」
だけど、もう少しこのままで。
タカヤは黙って、わたしの背中を抱いていた。
「土曜日は午後、迎えに来るよ」
「でも……」
「ナツはそのままで、俺を待っていればいい」
「わかった」
他の誰でもなくわたしを誘ってくれたことが、本当は嬉しかったの。
それって、特別な人がいないってことでしょう?
わたしを愛してなくても、必要としてくれるならそれだけでいい。
腕を解いてタカヤから離れる。
顔を上げると、タカヤの唇が近付いてくるところだった。