光依存症【短編】


美亜が落ち着いた頃、母が訊いた。

「美亜…何で、電気も点けないでお風呂に入ってたの…?」


先程の恐怖が再びせり上がって来て、彼女の指先が僅かに震えた。

「え、と…お風呂に入ってたら突然電気が消えて、それで…」


お湯に浮かんだ顔については、何も言わなかった。

幻覚でも見えているのかと変な心配をされそうだし、何より思い出すのも嫌だった。


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