初恋 bitter chocolate
高校生活2年目
女の子扱い
「俺、對馬は美人だと思うけど」
人生で初めて
【女の子扱い】というものをされた瞬間だった。
對馬麻理、高校二年生の春の出来事である。
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幼少期から男勝りな性格で、
小学生時代は長ズボンにTシャツで
男子と一緒に鬼ごっこをするのが日常だった。
中学生になってからは鬼ごっこさえしなかったものの
相変わらず男子のような性格。
そんな性格のため当然男子からは女子として見られていなかった。
「對馬は他の女子と違って話しやすい」
このセリフを一体何度聴いたことだろうか。
これはつまり、私が全く異性として意識されていないということである。
その性格のおかげか、中学校では女子からも男子からもいろんなことを相談された。
それと世話焼きな性格が合わさって、同学年の友達からは
「みんなのお母さん、對馬麻理」
というなんともわけのわからない称号が与えられていた。
そして高校。
女子高に通う私は、
「みんなのお母さん、對馬麻理」
の称号を引っさげたまま、
慌ただしい高校生活を送っている。