ラブレターを君に
長い…長く感じる道のりであった。


リオンに着いたカズは、一時も無駄には出来ないと思っていた。



タクシーから見える眺めも、何処かしこに見えてるクリスマスツリーや飾り付けのきらびやかさも、特別目には止まらなかった。



こんなにも………一人の女性に、会いたいと願った事など…今まで生きて来て初めての事なのだから……



逸る気持ちが、言わせてしまった。


「すみませんが……急いでください!」



少しニヤけながらタクシーの運転手が言い返してきた。



「日本人?フランス語が、うまいですね?……結構田舎だけど…クリスマスイブだからねー……余程誰かを待たせてるのかね?パーティー会場も無さそうな場所だけど…」



返事をするのも、おっくうなカズであった。



それより、今頃……理音は、家に居てくれているだろうか?



もしかして…何処かのパーティーにでも、出掛けてはいないだろうか!


いやっ!それとも………


タクシーの窓から初めて空を眺めた。何とこの時間にもかかわらず星が出ているのが見えた。



「お客様?今夜は……素敵な夜になるんでしょうね?もうすぐ、そこですから!」
< 105 / 119 >

この作品をシェア

pagetop