ラブレターを君に
カズの新曲が3月に入り発売日を迎えた。



4月から、コンサートツアーが始まる為に、メンバーとのリハーサルを念入りに何度も重ねていた。



カズは、仕事に集中することで、理音の事を考えずに済むのではないかと思っていた。



しかし、深夜に一人マンションに帰ると、否が負うにも、理音を思い出してしまう。



どうしても眠る事が出来なくなり、車を走らせた。



何処へ行くでもない。隣りには…理音は、居ないのだから。



小高い山のふもとに辿り着いた。



シートを倒し、夜空を眺める。



(星は、二人で見るんだよ!って、言ったよな?二人で見るときっと綺麗だよ!って……

今理音も、遠い何処かの空を…星を見てるだろうか……)



カズは、コンサートで弾くピアノ曲を今作っている。


その曲は、コンサートでのみ、弾こうと思っている。


その旋律は、理音そのものだった。心の中にひとりでに降りて来た。



…題名
星の願い……



いつか…きっと理音に…聴かせたい……



その夜は、また一睡もせずに、仕事場へ向かった。
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