ラブレターを君に
ドアを開けて入ってみると…



そこは、ただ広い部屋だった。



真ん中にはピアノが置いてある…



左の方へ目をやると、


(美歌)
「天体望遠鏡が2台…それとこの少し小さいのは、カズさんちよっと覗いて見る?…」



カズは望遠鏡というのは、東京タワーで一度見ただけである。



覗いて見ると、かなり大きくなって物が見えるが…



マンションの前を歩く人々がはっきりと見える………そこからずっと位置をずらして行くと…あれはっ!もしかして…自分がいつも行っていた、あの場所?……


(美歌)
「カズさん?これっ、見て?…この楽譜……いったい、誰の楽曲かしら?」


きちんと揃えられて閉じてある…カズは一通り目を通して見る。



(kazu)
「これはっ!僕の楽曲です。いつの間にこれだけのこと…してたんだか……初めて出したCDから順番に並べられていますね!」


(美歌)
「あの娘が、こんなこと出来たなんて、私今まで知らなかったわ!どうして黙っていたのかしら!天体望遠鏡みるのだけが、唯一の趣味だとばかり思ってたのに…」


(kazu)
「でも……中に一曲だけ、無いものが………(あの曲は、以前ケータイで弾いて聴かせてくれた…)きっと…その楽譜だけは、持って行ったんじゃないですか?」


(美歌)
「あの娘ったら…貴方の事忘れたくなくて、持って行ったのね!……」
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