キリトリセン
出会い
ーーーーピピピピッピピピピッ
無機質な音に導かれ夢の世界から現実へと意識が浮上する。
「...ん......」
手を伸ばし、目覚まし時計を止める。
まだ覚醒しきれていない頭で、髪に軽く手を通しながら、起き上がる。
タイマーのセットされた時刻は5時。まだ朝日も登っておらず、街が夜に包まれている時間帯だ。
こんなに早く起きるのは、学校が遠く通学に時間がかかるからというようなものではない。日課をこなすためである。
まだ眠っている父と母を起こさないように気をつけながら、出かける支度をする。
といっても服は動きやすいジャージ、髪をポニーテールに結うだけだが。
愛用している赤いリュックサックに私の相棒を入れて準備は終了。
「行ってきまーす...」
小さく呟き家を出る。