今治
「でさー、結局、山岡先生に二人して軽く怒られたんよね……それが、その現場」
慎平は、そう言って、現場を指差した。しかし、京子は、その現場を見向きもしないで、「天気職人」を歌っている。ポルノグラフィティだ。
マックスバリューに着き、タントを停め、二人は、横にあるダイソーに入って、サッカーボールを探した。
「あ、これなんかいいんやない?」
慎平は、柔らかいボールを今度は、自分のお金で払った。
「どうせなら、マックスバリューで飲み物買っていこ?」
との京子の提案で、コーヒーを、これは京子が払い、さすがにおんぶに抱っこだと申し訳ないので、延喜グラウンドまでは、慎平が運転することにした。
「運転大丈夫?」
と京子の心配が移ったのか、慎平は急に不安になり、サイドミラーの調整ボタンを押したはずが、助手席の窓がウイーンと開いた。
「……寒いんやけど」
「ごめん」
タントは、マックスバリューの駐車場をゆっくりと出て、また196に乗った。