今治





運動会は、毎年3年生がオクラホマミキサーと創作ダンスをする。




そして、慎平の代ももちろんあり、京子と同じクラスで、しかも、創作ダンスでは、ペアを組んだ。ただ、これがどういう組み分けか未だにわからず、背の順ということもなさそうで、それがまたいろんなことを考えさせる。




「あの時、俺らペアやったよね?」




「そうそう! 確か、こうやって……」




と、京子が歌いながら振付をし、慎平もそれに合わせるが、なかなかリズムが合わない。それもそうである。車内のBGMは、「ハネウマライダー」のままである。




「いや、でも、覚えてるもんやね、意外と」




「まあ、あれだけ練習したらね……」




この創作ダンスは、振付もすべて生徒たちで考えるため、しかも、複雑で、放課後、昼休みとかなり時間を使った記憶がある。ただ、慎平は、このダンスが好きで、運動会の練習でも、もっとこればっかり練習していたいと思うほど、あの頃の運動会は楽しかったのだ。




「やっぱり、運動会が中学では、一番かね」




そういった慎平の言葉に、京子がほんの少し、微笑んだような気がした。いや、もしかしたら、気のせいかもしれない。でも、慎平は気のせいとは、思いたくなかった。





< 30 / 56 >

この作品をシェア

pagetop