今治
「でも、びっくりしたなー。まさか、小説なんか書くとはね。サッカー馬鹿で足が速かったってことしか知らんかったけん、びっくりした」
「馬鹿は余計。まるで、無能みたいじゃん、俺」
「でも、私がポルノグラフィティ好きとか、あれ、完全に脚色じゃん」
「いいんよ。曲名を出すことによって、読んだ人がその時にそれを聴けばいい感じになるやろ? それに、ここまでの道中のBGMもポルノグラフィティやったやん」
「そりゃ、物語通りにせんと、いけんやろ? 結構、CD集めたんやけんね」
「わかったよ。その分のお金、払えばいいんやろ?」
「まあでも、それがきっかけでポルノグラフィティ好きになったし、いいよ、それは」
「そりゃどうも」
「ねえ」
「何?」
「本当にキスする? 慎平と京子みたいに」
「いいよしなくて、どうせ脚色やし」
「でも、なんで、あそこで終わらせたん? 全部回って、それから今治に帰ってきてからでもよかったんやない? キス」
「全然関係のないところで、久しぶりに会った女の子と新しい思い出作るって、なんか綺麗やない?」
「そうかね?」
「少なくとも、俺はそうやって思って書いた」