引きこもりの俺が何かを言った。
「爽ちゃん、まだ無理みたい。今度体育祭があるから、さすがに来るかなって思ったんだけど……」
「去年も来てないのにいきなり今年の体育祭にくるわけないだろ。もう少し頭使えよ」
頭使えって……。
小さい頃からの毒舌は今も健在なのね。
反論しようと思ったけど、陸人の言うことは正論。
何も言い返さない私を不思議に思ったのか、陸人がポツリと言った。
「爽介は3年間、学校に行かないつもりだと思うよ。将来はニートにでもなるつもりなんだろ」
「ニートって……。爽ちゃんが学校来てくれなきゃ……私嫌だよ!?」
もし、爽ちゃんが学校に来なかったら……。
考えただけで胸がキュッって締め付けられるように、痛い。
「……どちらにせよ、俺には関係のないことだよ。高校も別だし、あいつとは3年前に縁をきったんだから」
冷たくそう言い放つと、陸人は歩くスピードを速めてさっさと行ってしまう。
関係のないこと。
そんなの嘘だよ。
陸人も爽ちゃんのこと、心配してるはず。
ほんとは私と同じくらいに――。
ううん、もしかすると私以上に爽ちゃんのこと――。
私はカバンから携帯電話を取りだし、登録している番号に電話をかけた。