エリート医師に結婚しろと迫られてます
彼女の様子を見て、思わず笑ってしまう。
「嫌みな女ね。なににやにや笑ってるのよ。鍵を持ってたら、さっさと中に入れてよ」
笑ったのは、同じデパートの紙袋を持ってるからだ。
鍵を開けるために待ってたからじゃない。
私と同じデパートに寄ったということは、同じターミナル駅を通り、立ち寄る先も同じになったらしい。
「えっと…」それなら、挨拶は省略と。
「何よ、あんた鍵、持ってるんでしょ?さっさと開けてよ」
いきなり、命令しだした。
「ダメですよ…そんなの」
「あんた、中見たんでしょ?」
私はぎょっとした。
もしかして、お宅もビーフシチュー?
ビーフシチュー、かぶったかな?
なんでばれたの?まさか売り場にいたとか?
「中身?…あなたのなんか見てませんよ」
「見てないわけ無いじゃないの。ねえ、どんな部屋?」
私は、目を丸くした。
「何だ、部屋か。普通だと思います」
「普通のわけないでしょ?どんなふうにまとめて、どんな家具を置いてるの?」
「インテリアに興味があるなら、ショールームに行けばいいでしょう」
私に説明させようってのが間違いなんだから。
「あんたって、結構意地悪ね」