エリート医師に結婚しろと迫られてます


父が近寄ってきて、アルバムの写真をのぞき込んだ。


「おう…懐かしいだろう?」
ん?父が森谷さんに向かって話しかけた。


「森谷さんなんて、どこにいるのよ…」
父が、眼鏡を外して写真に顔を近づけた。


「ああ…そっちにはなかったかな?貸してごらん…」


父は、アルバムをめくって、この写真のこれだと、教えてくれた。


「これが?」


「そうだよ」


「だって…この写真には、私と真理絵と出っ歯…」


「出っ歯?」
父の顔が強張った。


「大丈夫ですよ。そうあだ名されてたのは、知ってますから。でも…麻結?
僕は出っ歯じゃない。その時は、歯の矯正装置を付けてたからね。そう見えたのかも」


森谷さんの嬉しそうな顔を見ると、私は、余程驚いた顔をしたのだろう。

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