エリート医師に結婚しろと迫られてます
終章
海を前にして、二人て 並んで座った。
空は青く、海も広い。
サーファーたちが波を待って浮かんでいる。
たまたま鞄に入ってたパンフレットとを2人で分けてお尻に敷いた。
波風も潮の香りも私は、当たり前に感じるけれど、森谷さんはじっと景色に吸い寄せられるように見ている。
「麻結の家に来るようになったのは、浅倉さん、君のお兄さんが、僕を誘ってくれたからだ」
「お兄ちゃんが?へえ、面倒見がいいとこあるんだよね」
妹に対しては横暴だけど、後輩の面倒見はよい。
ただ、ついお節介が行き過ぎるだけだ。
悪気がない分、たちが悪いともいえるけど。
「僕が中学1年生の時、彼は3年生だった。僕が、毎日一人で食事をしてると言ったら、彼は、何も言わずに次の週末、僕に自分の家に遊びに来いって言うんだ…」
「お兄ちゃんが?」
「そうだよ。その頃、僕の家は両親とも、弁護士で、じいちゃんから事務所を受け継いで、大変な時期だったんだ。だから、僕は…大人しいと思われて、ずっと家に一人でほったらかしにされてた」