エリート医師に結婚しろと迫られてます

森谷さんが、ぼんやり、
放心状態の私の肩を揺する。


まずい。
私、森谷さんを見つめて、口を開けたままだ。力が抜けて、体がガクガクしてる。

恋愛偏差値が、学力偏差値
にまったく及ばないのが、バレたかな。



美月なら、ほんの触れるようなキス
ごときで、うっとりするなと言われそう。

でも、仕方ないのよ。美月。

これって、つまり恋愛感情じゃなくて、
体が反応してしまうってやつなの。きっと。

もちろん、こんなの初めてだけど。


細胞の方が先に、優秀な遺伝子を求めて、暴走するのよ。

滅多に見られないほどの優良遺伝子を見つけると、
遺伝子の方が理性より先走って暴走する。

遺伝子の暴走理論…


多分…
生物学的にも、認められてるに違いない。


んん?


目の前が、全部森谷さんだ…ん?

うわっ…顔近い!ち、ちょっと待って。

今度からこういう時は予告して!!

深呼吸しないと心臓が破裂するから。



「麻結子?」


「うっ…」急に、現れないでよ。


「話…聞いて」
おでこがくっついて、ふうって…
彼が息をする度に、息が顔にかかる。


「き、聞くから…離れて」

彼の体から、離れても、
まだ酔っているみたいに、世の中が
ゆらゆらしていた。
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