ウソつき彼氏とニセ恋愛
もうすぐ夏とあって、屋上はすごく暑い。
だから、他の生徒も立ち寄らないんだ。
「俺が前に行ったこと、
間違ってないだろ?」
屋上について早々、そんなことを言われたら驚くしかない。
「……なんで、分かったんですか?」
「目を見れば分かんだよ。
七瀬は昴の告白をウソだと知ってるってな」
「……っ」
そこまでバレてるなんて思ってなかった。
「ウソの告白だと知ってて、
オッケーした理由ってなんなワケ?」
「……だって水瀬くん、笑ってないから。
すごく優しくて、すごくいい人なのに、
周りの人たちは見た目しか見てなくて…」
大嶋くんは、じーっと私をみながら、
静かに話を聞いてくれてる。
だからなんだか、話しやすかった。
「女の子と一緒に遊んだっていい、
手を繋いでもキス…しても……
ただその代わりに、笑顔が欲しかったんです……」
偽善者って言われるかもしれない。
でも私は、その覚悟で付き合ってるんだ。
それだけが伝わればいい。