ウソつき彼氏とニセ恋愛
「なんか、七瀬さんが昴に話あるって〜」
語尾に音符がつきそうな声のトーンに、
なんだか腹が立った。
手のひらで転がされてる私。
こんなに惨めで、自分で自分を嘲笑えることができるのは初めてだ。
「昴くん……別れよ?」
小さかったかもしれない。
でも、これが精一杯だった。
「な、にいってるの?」
「もう、別れようって……」
「こいつに!なんか言われたの?」
焦ってるのか、必死なのか、
そんな感じの昴くんに少し驚いた。
「……言われてないよ。
松田さんは、私の協力をしてくれただけ」
よくもまあ、こんなにスラスラと言えるな。
「もうね、昴くんのこと、嫌いなの」
ごめんなさい、私はあなたを、
最低な傷つけ方をする。
あなたにとって最悪な言葉で、
あなたに恨まれると思う。
「……だって私、昴くんかっこいいって思ってたけど、別に何もくれないでしょう?
……“高価な”指輪とかさ…
昴くんの隣にいれば、少しは“私のアピール”になるかなって思ったんだけど、ダメみたい」
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
昴くんの泣きそうな顔は、
とても見ていられなかった。
屋上の出入り口に、ちづちゃんと弘乃くんもいて、2人とも目を見開いていた。