ウソつき彼氏とニセ恋愛
「す、昴……。」
俺に触れてきたのは、凛花。
俺はその手を払い除けた。
「……俺の前から消えてくれない?」
「え……」
今は、お前を見てるとイライラするんだよ。
さっさといなくなってくれないかな。
「はやく」
自分でも驚くほど低い声が出た。
凛花は肩をビクッとさせて、
走って屋上から出て行った。
すごく、苦しいんだよ、胸が。
足音が聞こえて
弘乃とちづるが近づいたのが分かった。
「お前、泣いて……っ!?」
「え、泣いてる?俺が?」
弘乃の言葉に自分でも驚いて、
手を頬に持っていく。
俺の頬は……涙で濡れてた。
「……私は、千夏が裏切るなんて思えない。
絶対…何かあったんだ」
ちづるはそれだけ言って、
歯をくいしばりながら屋上から出て行った。