ウソつき彼氏とニセ恋愛




その場に取り残された私と水瀬くん。



数秒の沈黙を破ったのは、
水瀬くんだった。



「弘乃と何話してたの?」



なんて言えばいいんだろう……。
水瀬くんには、言いたくないからなぁ。



「水瀬くんのことです…」



「…もうさ、その呼び方やめよー。
下の名前、知ってるでしょ〜?」



そ、そりゃあ知ってるけど…!

男の人を下の名前で呼ぶなんて、
ハードル高すぎるよっ!



「今回だけは、譲らないから!」



なんだか少し怒ってる…?



ムスッとした表情の水瀬くんは、
私が下の名前を呼ぶまで、この場から逃がしてくれないみたいです。



「……昴くん…」



最後の方なんて聞き取れるか分からないほどに小さくなっちゃったけど、

それでも私にしては頑張ったもん!




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