ウソつき彼氏とニセ恋愛




「俺ね、最近ふと思うんだ」



「?」



ぎゅっと抱きしめられたまま、
私の肩に頭を乗せて呟くように言う昴くん。



「もし、千夏ちゃんと出会ってなかったら、
今の俺はどうなってたのかなあって…。

父さんとの関係も、全部ね」



昴くんの声が、なんだか震えていた気がして…

咄嗟に抱きしめ返した。



「もし、最初は遊びであっても、
千夏ちゃんに告白しなかったら、
その告白を、オッケーしてくれなかったら」



そんなこと言ったら、私だってそうだよ。




< 265 / 284 >

この作品をシェア

pagetop