ウソつき彼氏とニセ恋愛
「俺ね、最近ふと思うんだ」
「?」
ぎゅっと抱きしめられたまま、
私の肩に頭を乗せて呟くように言う昴くん。
「もし、千夏ちゃんと出会ってなかったら、
今の俺はどうなってたのかなあって…。
父さんとの関係も、全部ね」
昴くんの声が、なんだか震えていた気がして…
咄嗟に抱きしめ返した。
「もし、最初は遊びであっても、
千夏ちゃんに告白しなかったら、
その告白を、オッケーしてくれなかったら」
そんなこと言ったら、私だってそうだよ。