ウソつき彼氏とニセ恋愛
「昴くんは、千夏の隣に自分がいることが
たまに不安になったりするみたいだね」
「…っ、はい」
そんなこと…思ってたんだ。
全然気づかなかった。
何が、昴くんを不安にさせちゃってるんだろう。
「こんな自分が隣でいていいのか、
みたいな感じだろう?」
「どうして分かるんですか?」
「俺はこれでも、君と同じ道を歩いてたからね」
私とお母さんは、何も言わずに
お父さんと昴くんの話をご飯を食べながら聞いている。
「俺、少し前までは女の子と遊んでたし…
そんな俺が、こんなにいい子の千夏ちゃんと付き合ってていいのかなって…」
初めて聞いた、昴くんの悩み。
昴くんはきっと、悩みを人に言わずに
自分の中で溜めちゃうんだね。
「昔、俺もそう思ってたよ」
お父さんの言葉に、驚いてしまった。
だってお父さん、いつも自信に溢れてて
「お母さんの隣は俺しかいない!」
なんて、言ったりしてたから。