ウソつき彼氏とニセ恋愛




「母さんが家から出て行ったのは、
俺が1歳のとき。

でも俺を産んですぐ、母さんは別の男の元へ行ってたらしいんだ。

それが発覚したのが1歳のときって話


母さんにろくに世話してもらった覚えないし、
写真も一枚もないんだ〜」



笑いながら話してるけど、

心はきっと痛いはず。



何もできなくて、ただ隣で話聞いてるだけで
そんな自分が嫌になっちゃうけど…

今は、話を聞こうと思った。



「父さんも仕事人間だし、
家族の思い出なんて1つもないよ」



ヘラッとしてる昴くんがたまに見せる
あの悲しい表情の原因は、

……きっとこれなんだ。



「いつも1人だし、世話してくれたばあちゃんは中学生の時に他界したし、

……ずっとひとりぼっちだったんだよね、俺」



あ……あのときの……

屋上で見たときの、
悲しい表情だ。



そっか………。



私じゃ簡単に、笑顔にできないのかもしれない。




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