ウソつき彼氏とニセ恋愛
昴くんは、そっか…とだけ言って、
頭をぽんぽんしてくれた。
それだけなのに、すごく心が落ち着いて
なんだか泣きそうになった。
そんなとき、大嶋くんが来た。
今は来てほしくなかった。
だって、すぐにウソだってバレちゃうから。
ウソつけないって分かってるから。
「よお、…って、なんかあった?」
しんみりとした空気に反応したのか、
苦笑いでそう聞く大嶋くん。
「なんで弘乃がここに来たの?」
確かに、朝からくることって珍しい。
そう滅多にないのに…。
「少し面白い話聞いちゃってね。
千夏ちゃんにいろいろ話そうかなーってな」
……この目は、すべてを知ってる目だ。
きっと、松田さんのことを
私に話に来たんだと思う。
だって、大嶋くんの目が心配してると、
大丈夫なのかと、そう言ってる気がするから。