ウソつき彼氏とニセ恋愛
「下駄箱…」
「うん?」
「下駄箱に…その……」
すごくいいづらい。
でも、でも…、
昴くんは私を助けてくれた。
心配だってしてくれてる。
ウソなんて、もうつけないよ。
「……うん、下駄箱に?」
優しく、話しやすくなるように、
手をぎゅっと握ったまま私と目線の高さを合わせてくれた。
「……昴くんと別れろって、書いてあったメモが入ってたの」
「そっか……。
なんで教えてくれなかったの?」
「迷惑かけたくなかった、から」
ただでさえ、こんな私と一緒にいてくれて、
世界を広げてくれた優しい昴くんに、
これ以上の迷惑なんてかけたくなかった。
「迷惑なんかじゃないよ。
俺ね、本当に千夏ちゃんのこと守りたいって思ってるから」
……ウソじゃないのかもしれない。
だって、私のために隠れて動いてくれた。
だからきっと…今は本当なんだよね?