鈍感さんに恋をした。


涙声で言う夏見と俺を、玄関のドアが遮った。


「……はぁ」


何やってんだ、俺……。


これでも俺、本当に夏見の彼氏でいていいのか…?


現に、俺の心の中には、まだ莉愛の顔が残っている。


莉愛の笑う顔、泣く顔、怒ってる顔、困っている顔、照れている顔………。


全てが、俺の心の中をぐるぐると回る。


神様、教えてくれ。


いや、教えて下さい。


俺は、どうすれば良いんですか…?


“神様は、その人に乗り越えられない試練を与えない”


そんなの、嘘だ。


俺には、こんな難しい試練、乗り越えられない。


だから、神様。


どうか教えて下さい、俺がどうすれば良いかを。


こんな時ばっか、頼ってすんません。






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