鈍感さんに恋をした。
「…キャッ!」
そんな事を考えながらボーッと暗くなった道を歩いていると、不意に誰かにぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい!!」
慌てて俺はバッと謝った。
「あっ、いえ...って、え…っ」
……ん?
「湯河原センパイ…?」
「えっ…!」
今ぶつかったのは、なんと莉愛だった。
「ゆ、湯河原センパイ、こんなとこで何して…」
「いやいや...自分だって、そんなとこで何してんだよ」
こんな暗いのに、莉愛こそ1人で何やってるんだって!
「え、あたしは別に...」
「お、俺だって別に、なんでもねぇし」
この時、俺は明らかに動揺していた。
久々の莉愛との2人っきりに、俺の鼓動が、体が、付いて行けてなかった。