鈍感さんに恋をした。
「えっ……と」
いきなりそんな事を聞かれても、正直よくわからない。
湯河原センパイには彼女がいる訳で、あたしなんかが好きでいて良いのか。
そんな考えが、脳裏を過る。
……カキーン!
グラウンドの方から、金属音が響いて聞こえた。
「うっわ、誰かホームランでも打ったのかな?」
麻琴が驚きを隠せない様子で、グラウンドの方に視線を向けた。
「中村、ナイス!」
今も男子の叫び声からして、中村くんがホームランを打ったっぽい。
「中村くん、すごいねー。
ホームランだってさ」
麻琴がこっちを見て、感心したように言った。
確かに、すごい。
中村くんは、勉強も出来るけど、運動もこなしちゃうんだ。