鈍感さんに恋をした。
…待って、行かないで。
私、本当は、たっちゃんとこのまま、幸せになりたかったな。
でもまあ、仕方ないと思った。
私と付き合っても、その人が忘れられなかった程なんだから、それはその人…柳田さんが、本当に好きって証拠。
ちょっと悔しいけど、柳田さんと付き合って、幸せを掴んでほしい。
たっちゃんの、本当の幸せを。
ふと窓の下を見下ろすと、たっちゃんが家を出て歩き出す所だった。
「…たっちゃん!!」
私は窓を開けて叫んだ。
たっちゃんが驚いたように振り返り、私を見上げた。
「こんな私と付き合ってくれて、ありがとうございましたっ!!」
良かった、ちゃんと笑えて言えた。
たっちゃんも、私を見上げて優しく笑ってくれた。