鈍感さんに恋をした。
あたし、湯河原センパイが嘘付かない優しい人だって知ってるのに、心の中では信用していなかったんだ。
……はは。
あたし、相当バカだよね。
そんな事を考えていたら、いつの間にか校門を通って、昇降口に着いていた。
麻琴や楓とは、その話はもうせずに、他愛もない話をしながら教室に行った。
「柳田さん、おはよう」
「…中村くん、おはよう」
すでに来ていた中村くんに笑い掛けた。
……そういえば、中村くんって、なんで湯河原センパイにあんなに敵意向き出しなんだろ。
前にも、思った事があったけど。
あたしには、こんなに優しく笑ってくれるのにな……。
なんで湯河原センパイには、あんなに怖い顔して、冷たい鋭利な言葉を投げ掛けるんだろう。