鈍感さんに恋をした。
そもそも学年が違うから、湯河原センパイと中村くんが仲良くなる事はないだろうけど、それでも、あんなに敵意向き出しになるのはやめて欲しいな。
あたしはそう思う。
「…ねえ、中村くん」
「え?」
中村くんが不思議そうな顔をして振り返った。
「なんで、中村くんって、湯河原センパイにそんなに敵意向き出しなの?」
…聞いてしまった。
本人に、ストレートに聞いてしまった。
当の中村くんは、びっくりした顔というか、ちょっと困ったような顔をして、微かに笑っていた。
「……そっか、柳田さんは、やっぱり鈍感さん、なんだね」
「えっ…?」
中村くんから返って来たのは、よくわからない答えだった。