鈍感さんに恋をした。
俺の隣をてくてく歩いて来る女。
彼女の名前は、柳田莉愛。
自己紹介の時から、莉愛は面白いヤツだと思っていた。
あんなに周りにオドオドしていたのに、突然明るくなったり。
莉愛は、ホントに面白いヤツ。
元々世話焼きなるうが莉愛に話し掛けても断って、ずっと1人でいる。
俺は最初、小橋と倉木に声を掛けられて、カラオケに夢中になっていた。
でも、莉愛の事が無性に気になった。
「えっ竜稀くん、どこ行くの?」
小橋が高いトーンで聞いて来る。
キモいんだよ。
そんな、高くて気取った気持ち悪い声で、俺に話し掛けて来んな。
「ちょっと向こう行って来る」
そう言った筈なのに、倉木が俺のシャツの袖をグイッて引っ張った。