鈍感さんに恋をした。
中村くんは、大人っぽい。
中村くんが密かにモテている理由が、なんとなくわかった気がする。
きっと、中村くんには、もっとお似合いの人が現れる。
本当に、それだけは思った。
中村くんとの話が終わり、昇降口に行くと、見覚えのあるシルエット。
「…湯河原センパイ?」
シルエットは、やっぱり、湯河原センパイだった。
「莉愛。一緒に帰ろ?」
「…はい」
お互い指を絡ませて繋いで帰る。
最初は恥ずかしかったけど、もう日常茶飯事になっていた。
「……莉愛」
「はい?」
湯河原センパイの方を向くと、何やら真剣そうな表情をしている。
「莉愛にとっての、ファーストキス。
してみる?」