鈍感さんに恋をした。
こうやってあたしの手を握ってくれる時も、麻琴の手は温かくて。
「麻琴…ごめんね?」
「平気だよっ!」麻琴は振り向いて笑いながら、明るい声で言った。
そして、麻琴と校門前まで来ると、なんと湯河原センパイを発見。
すると麻琴はニヤニヤしながら、繋いでいた手をスルッと離した。
「え、麻琴…?」
「竜稀センパイのとこ、行きなよ!
あたしは、先に行くからね!」
麻琴はそう言って、前にいる湯河原センパイを追い越して、先に行ってしまった。
麻琴が走って行ったのを見た湯河原センパイは、いきなり後ろを振り向いた。
あたしを視界に捉えると、ニコッと笑ってくれた。
「…莉愛、おはよう」