鈍感さんに恋をした。
女の子が行ったのを確認したと同時に、湯河原センパイは大きな溜め息を付いた。
そして、何かブツブツと呟いてから、あたしの頭に大きな手を乗せた。
「莉愛、ごめんな?
気分、悪かったろ?」
「いえ、別に…大丈夫です」
あたしがそう答えて首を小さく横に振ると、湯河原センパイはちょっと驚いた表情をしたけど、すぐに苦笑いをした。
「湯河原センパイ…?」
あたしが呼び掛けると、湯河原センパイはハッとし、「ごめん」と言って上靴を履き替えると、足早に駆けて行った。
湯河原センパイ…どうしたのかな。
不思議に思いながらも、あたしも上靴に履き替え、昇降口を後にした。