鈍感さんに恋をした。


女の子が行ったのを確認したと同時に、湯河原センパイは大きな溜め息を付いた。


そして、何かブツブツと呟いてから、あたしの頭に大きな手を乗せた。


「莉愛、ごめんな?
気分、悪かったろ?」


「いえ、別に…大丈夫です」


あたしがそう答えて首を小さく横に振ると、湯河原センパイはちょっと驚いた表情をしたけど、すぐに苦笑いをした。


「湯河原センパイ…?」


あたしが呼び掛けると、湯河原センパイはハッとし、「ごめん」と言って上靴を履き替えると、足早に駆けて行った。


湯河原センパイ…どうしたのかな。


不思議に思いながらも、あたしも上靴に履き替え、昇降口を後にした。






< 39 / 226 >

この作品をシェア

pagetop