鈍感さんに恋をした。


教室前の廊下に差し掛かると、ドア前に麻琴と楓がいた。


楓はあたしの存在に気付くと、終始気まずそうな表情をしていた。


わざと気付かないふりをして、楓の横を通過しようとした。


「り、莉愛っ、待って!」


楓があたしを呼び止めた。


あたしが振り向くと、楓はやっぱり気まずそうだ。


「あ、あの...さっきは、感情的になって、ごめんなさい」


「………あたしこそ、なんか鈍感過ぎて、楓を怒らせて… ごめんなさい」


あたし達は喧嘩した時、こんな風に必ず両方謝っちゃう。


楓はきょとんとした表情になった。


「なんで莉愛が謝るの?
一方的に言い過ぎたあたしが悪いのに」






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