鈍感さんに恋をした。
男は、低い声で俺にそう言い捨てると、「行こう」と莉愛を引っ張って行ってしまった。
なんだよ、あの男。
…まだ1年?で、莉愛と同クラか?
「ちっ……」
邪魔しやがって。
男は、ワックスで固めた黒髪に眼鏡という、超真面目そうなダサ男。
神経、腐ってんじゃねぇの。
どんだけKYなんだよ。
…その男は、これから、俺にとってとても厄介な人物となる。
まだ、その事を、この時の俺は全く知らない。
俺は、中庭1人取り残された。
はぁ...気分悪りぃし、授業もう1時間サボっちゃおう。
「は~あ...」
俺は深く溜め息を付いて、中庭の芝生に寝転がった。