鈍感さんに恋をした。
「えっ、何いきなり。照れるなぁっ」
楓はほんのりと頬を赤くしていた。
そう話しているうちに、あっという間に家に到着した。
「じゃーね、莉愛」
「また明日ね、莉愛」
「うん、バイバイ!」
麻琴と楓に手を振り、ふと目に入って来た表札を見つめた。
【柳田】と書かれた表札を、あたしは恨めしく見つめた。
人に名字で呼ばれた時、あそこまでショックを受けた事はなかったなぁ。
相手が、湯河原センパイだからかな?
トホホ...
まさか人生で、こんなにも複雑な感情に悩まされる日が来るなんて………。
家に入り、部屋のドアを閉めると、一気に体の力が抜けていった。
「あたし…… どうすればいいの…??」