伝えたい。あなたに。
その時広瀬先生が戻ったようだった。



山瀬先生は私に近づいて、後ろから上体を起こして支える。



広瀬先生は私の右手に針を刺す。



なすがままだ。



全身が脱力して、支えてもらわなければ座っていることもできない。



『もう大丈夫。力抜いてて、体預けていいから。』



どっと身体に疲れが残る。



聴診器が入れられる。


『びっくりしたね、まだ痛い?』


首を横に振る。


自分が情けなくなる。
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