伝えたい。あなたに。
研修医が手首に触れる。


『時間かけすぎ。』



山瀬先生が指摘する。



すると、私の体を起こした。



今は動かさないでほしい。



このままでいい。



ぎゅっと目を瞑る。



『立てますか?』



座るのも大変なのに、立てるかと聞かれることに、怒りを覚えてしまう。



『やめて....。』



私の言葉に驚いているようだった。



パッと手を離す。



それと同時に再び机に突っ伏す。



より目眩がひどくなっただけで、何も変わっていない。



『山瀬先生...。』



つい呼んでしまった。


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