伝えたい。あなたに。
『始めるよ。』

「……………………。」

『返事しないとわかんない。』

「いいよ。」

『いっとけどね優香きてからここまで30分かかってるの。普通はここまで5分で終わる。』

そう。私はずっとヤダヤダとダダをこねていたのだ。

だからさっきまで機嫌の良かった先生も今では鬼に大変身。

「ごめんなさい。」

『よし、動かないでね。』

私はギュッと唇を噛む。

《優香ちゃん深呼吸してようね。》

それどころじゃない。今は呼吸ができないほどドキドキしているのだ。

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