絶望エモーション
オフィスにやってきたのは、本当に何となくだった。せいぜい、少し仕事をして頭を切り替えようかなという程度。
だけど、誰もいないという状況が私の心を動かす。
私は自分のデスクに鞄を置くと、そっと斜め前に位置する未來さんのデスクに歩み寄った。
未来さんのデスクは整理整頓されている。
パソコンのディスプレイの横、コースターの上に逆さに置かれたマグカップ。しまい忘れたいつもの多機能ペン。
そして、これも置き忘れたのだろうタオル地のハンカチ。うさぎの模様の可愛らしいハンカチは、未來さんのクールな美しさとは不似合いで笑ってしまう。
知ってる。
本当は可愛いものが大好きだって。
本当は涙もろいんだって。
本当はブラックコーヒーが飲めないんだって。
未來さんのことなら、たくさん知ってる。
5年間、ずっとずっと見てきたもの。
だけど、誰もいないという状況が私の心を動かす。
私は自分のデスクに鞄を置くと、そっと斜め前に位置する未來さんのデスクに歩み寄った。
未来さんのデスクは整理整頓されている。
パソコンのディスプレイの横、コースターの上に逆さに置かれたマグカップ。しまい忘れたいつもの多機能ペン。
そして、これも置き忘れたのだろうタオル地のハンカチ。うさぎの模様の可愛らしいハンカチは、未來さんのクールな美しさとは不似合いで笑ってしまう。
知ってる。
本当は可愛いものが大好きだって。
本当は涙もろいんだって。
本当はブラックコーヒーが飲めないんだって。
未來さんのことなら、たくさん知ってる。
5年間、ずっとずっと見てきたもの。