絶望エモーション
最近では朝まで離してくれないこともしばしばで、私は彼の部屋の片隅に小さなボストンバッグを置かせてもらうことにした。
そこに翌日の着替えや下着を入れておき、定期的に補充するのだ。

休日が重なれば、たまに外に食事に行く。向かい合ってランチを食べたり、少しだけお酒を飲んだりする。
これは関係性の変化の一端かもしれない。以前はなかったことだから。

とはいえ、私は無口で、彼もサービス精神を発揮しなければ口数が多い方ではないので、私たちは随分静かなカップルに見えたことだろう。喧嘩中にすら見えるかもしれない。


葦原くんの奴隷。
弱みを握られ脅されている。

私はこの役を今後も演じようと思っている。
彼が飽きるその日まで。




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