絶望エモーション
まさか、……でも。
もし、そうだとしたら……確かめなければならない。


「父さん、母さん、ごめんなさい。ちょっと行かなければならないところがあるの」


「こんな時に何を言ってるの。仕事ならお休みをもらってちょうだい」


兄との確執を知らない母は私を冷血だと思っただろう。非難がましく言う。


「ごめんなさい、行くね」


私はふたりに背を向け、足早に歩き出す。病院のロータリーには夜間診療の客待ちなのか、まだタクシーがいる。
一台捕まえ、私は二子玉川に向かった。



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