シークレット・エレベーター
「姫希ってさ」
「下の名前で呼ばないでください」
「いいじゃん減るもんじゃないし」
「…」
本当にこの人はノリが軽いしチャラい。
だから私はこの人が嫌いだった。
「俺のこと嫌いでしょ」
「嫌いです」
「即答かよ。はっきり言うね姫希は」
「悪いですか」
「別に。正直なのは嫌いじゃないよ」
「そうですか」
私はずっとこの人を避けてきた。
なのにここにきて二人きりになるなんてついてない。