From..
「あれ…?そういえばその制服……」

いまさら俺は気付いたが彼女の着ている制服は佐久良高のものだ。

「あ。はい。今日から佐久良高に通うことになったんです。あなたも佐久良高生ですか?」

「俺、若葉 翔。佐久良高校二年生!」

「私、藤堂 美紀。佐久良高校二年転校生!!ちょっと真似してみました」

彼女は笑いながらそういった。俺は、そんな彼女に少し照れてしまった。改めて彼女を見ると、とても綺麗だった。

さらさらとしたストレートの長い黒髪。ぷるんとした唇。そして小さい顔に合わせるように整ったスタイル……。

彼氏いるのかな…?
いなかったら俺が立候補して……。

『翔、好きっ!!』

『美紀、ダメなんだ…。俺には百合菜ちゃんという最愛の人が……』

「そういえば始業式ってもう始まってますよね」

「あ…」

忘れてた。俺はその言葉で妄想世界から、現実世界へと引き戻される。

慌てて時計を見る。9時ジャストを指していた。

「ハハ…10分どころか30分の遅刻……」

「え?」

彼女は首を傾げる。この子の一つ一つの動作が俺の心を揺さぶってくる。

「な……何でもない。こっちの話だよっ」

「変なの!」

「てか転校生なら尚更急がなきゃダメじゃん!」

「…………!」

そういうと彼女は俺の手を引っぱり、突然走り出した。

いてて!!
今俺…引きずられてる!
てか今更気付くなんて…
遅すぎじゃね?
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